迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第34話 闇の精霊
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応接室に閉じ込められたフィリーネは口元に手を当て、うーんと考え込んでいた。
「どうやったらここから脱出できるでしょうか?」
叫んでもドアを叩いても誰にも気づいてもらえなかった。
カーテンをロープ代わりにして地上へ降りるにしても長さが足りない。
このままでは生贄の花嫁の座をミリーネに取られてしまう。
社交界のエトワールであるミリーネに言い寄られたら、シドリウスもイチコロだ。
(お姉様の後でシドリウス様に告白しても、私に勝ち目はありません。美味しそうなのは絶対にお姉様です……)
敗北は容易に想像できる。
フィリーネはため息を吐きながら、近くにあった本棚の側板に手をついた。
本棚にはたくさんの分厚い本がずらりと並んでいる。総重量はかなりのものであるはずなのに手をついた瞬間、いとも簡単に動いた。
「か、軽いです!」
さらに驚くことに、動いた本棚の後ろには人が一人通れるほどの扉があった。
「これは隠し扉? どこに繋がっているのでしょう?」
もしかしたら外へ出られるかもしれない。
このまま大人しく待っているなんて、フィリーネにはできなかった。
「やれることは、とことんやってみましょう」
覚悟を決めたフィリーネは扉を開けた。