迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第38話 溢れる想い
寝間着のスカートを摘まんで一礼するフィリーネ。
そのかしこまった態度に、シドリウスが眉を顰めながら反論する。
「一体何の真似だ。説明してくれ」
「シドリウス様は竜王陛下です。私のような者が気軽に接して良い相手ではありません。そして、これまであなた様を竜王陛下だと気づかなかったこと、深くお詫びいたします。噂のせいで別の竜人だと勘違いしていました」
爬虫類をぺしゃんこにした醜男という噂もあり、フィリーネはシドリウスを竜王陛下と同じ名前の竜人だと認識していた。その思い込みによって、これまで多くの不敬を働いてしまっていたのだ。
正直、ハビエルたちと同じように罰せられてもフィリーネは何も言えない。
「噂を放って置いた俺がいけないんだ。というか、最初に言わなかっただろうか?」
フィリーネは首を横に振る。
「いいえ、仰っておりません。陛下は『シドリウス』と名乗っただけです」
「勘違いをさせてしまってすまなかった。だが、俺は今まで通りフィーには名前で呼んでもらいたい。頼む」
シドリウスはフィリーネに名前を呼ばれなかったらこの世の終わりとでも言いたげな切ない顔をしていた。
美しく整った顔を最大限に活用されてしまっては、断れそうにない。
フィリーネは肩を竦めた。