迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
第20話 うまくいかないダンス
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応接室にある誰も座っていないピアノから、優雅な調べが流れている。
このピアノにはシドリウスの魔法がかかっていて、鍵盤蓋を開ければ自動で音楽が演奏されるようになっていた。
フィリーネがカロン指導の下で学ぶようになってから三ヶ月が経った。
努力の甲斐もあって基本的な礼儀作法はある程度板についた。カロンからは令嬢らしくなってきたと褒めてもらえるようにもなったので嬉しい。
しかし、どれだけ練習を重ねてもダンスだけは上達しなかった。
特に曲に合わせてステップを踏むのは難しく、頻繁に足がもつれてしまう。男役になってもらったカロンの足を何度踏んづけてしまいそうになったことか。
今だってステップを踏み間違えてよろけてしまった。
浅い呼吸を繰り返しながら、フィリーネががっくりと項垂れる。
(ああ、どうしてこうも要領が悪いのでしょうか……)
自分の身体なのに言うことを聞いてくれないのがもどかしくて堪らない。もう三ヶ月が過ぎようとしているのに、ちっとも成長の兆しが見られなかった。
このままでは教えてくれているカロンに顔向けできない。
頭を抱えていると、カロンがフィリーネの肩に手を置いてきた。