迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~
「落ち込まないでくださいまし。お嫁様は音楽に合わせて踊るのが苦手なだけで、ステップは踏めています。大丈夫でございます」
「励ましていただきありがとうございます。ですが、このままではまともにダンスの一つも踊れません」
フィリーネは嘆息を漏らした。
音楽がなければ普通に踊れるのに、何故が音楽と合わせようとすると身体がぎこちなくなって失敗してしまう。
「一旦休憩いたしましょう。汗もかいていらっしゃいますし、中庭で冷たい飲み物でも飲みながらリフレッシュするのでございますよ」
季節は巡り、日差しの強い夏になった。
中庭ではピンク色のバラが咲き誇り、エルダーの木には甘い香りがする白くて小さな花がたくさんついている。
フィリーネは案内してもらったテラス席に腰を下ろすと、カロンが飲み物を持ってきてくれた。
「どうぞ、昨日作ったエルダーフラワーのコーディアルです」
コーディアルとは、季節のハーブや果物をシロップ漬けにして水や炭酸水で割って飲む飲み物のことだ。
フィリーネは目の前に置かれたコーディアルを一口飲む。レモンの酸味と砂糖の甘さが丁度良く、夏にぴったりの味がした。
冷たい炭酸水で割ってくれているのもあって、渇いていた喉が潤った。
「とっても美味しいです!」
「クッキーもいくつかご用意したので、召し上がってくださいまし」
カロンはお盆からクッキーの皿を取ると、テーブルの上に置く。
次に取り皿に数枚のせると、フィリーネの目の前に置いた。