迷信の生贄花嫁、食べられると勘違いしたまま竜王陛下の溺愛が始まって戸惑ってます~食べるって物理的な意味ですよね?~

第22話 意趣返し



「こんな風に食べさせてもらえたら、俺的には十分疲れが取れるんだがな」
「へ? えっと……」

 向かいの席にはヒュドーも座っているのに。
 フィリーネは顔を赤くした。恥ずかしくて涙目になっているのに、シドリウスは食べろと催促してくる。

 渋々口を開くと、スノーボールクッキーが舌の上にのった。その瞬間、舌の温度で表面にまぶされていた砂糖が溶け、クッキー生地がほろほろと崩れていく。
 美味しいはずなのに、シドリウスに眺められているせいで顔だけでなく身体までもが熱くなる。


「あー、なんだか凄く暑いなー。照りつける太陽の日差しがきついせいかなー」
 棒読みな気もするが、ヒュドーは空を仰いで額に手を当てる。
「……というわけでシドリウス様、僕は退席させていただきますね」
「ああ、そうしてくれ」

 シドリウスが返事をすると、ヒュドーは踵を返していった。
 姿が見えなくなったのを確認したシドリウスは、こちらに満面の笑みを零す。

「これで邪魔者はいなくなったな。さあ、もう一枚食べるといい」
「い、いえいえ。今度はシドリウス様が召し上がってください! 私は既にたくさんいただきましたし……私に食べさせて欲しいんですよね!?」

 これ以上、シドリウスに食べさせて貰うのは心臓に悪い。
 慌ててスノーボールクッキーを一枚取ると、シドリウスの口もとに運ぶ。

「はい、あーんしてください?」
 小首を傾げながらフィリーネがお願いすると、シドリウスの耳の先がたちまち赤くなった。続いて口元を手で覆い、身悶えする。

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