追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
7・偽聖女の状況説明【アオリ】
 ――話は、10年前に遡る。

 ラオイドル公爵家の次女アオリにとって、姉のラシリネは邪魔で仕方がなかった。

(あの女さえいなければ、あたしが聖女になれるのに……!)

 一緒にいることすらも憎たらしくて、大嫌いで、すべてを奪ってやりたい相手。
 それが、アオリにとってのラシリネという存在だった。

 だから――。

「貴様が姉の代わりに、聖女となれ」

 聖なる力をその身に宿す魔具をダリウスから差し出された時、嬉しくて仕方がなかった。

(これさえあれば、あたしは聖なる力を生まれ持った聖女になれる……!)

 しかし、それも一瞬だけだ。
 少年の手からそれを受け取ろうと腕を伸ばし、指先が触れる直前でピタリと静止する。
 他者を欺く禁呪を見せびらかしてきた男が、姉に想いを寄せる人間だと思い出したからだ。

(ちょっと待って。こんなにうまい話、あるはずがないわ!)

 アオリは気が強そうに見える赤紫色の瞳を不快そうに歪め、胸元で両腕を組みながら吐き捨てた。

「一体、なんのつもり? あんたは、姉様が好きなんでしょ? 敵に塩を送るとか、あり得なさ過ぎなんですけど!」

 少年は感心した様子で、ポツリと呟く。
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