追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
「いいか。男は全員、魔獣と同じだ」
「陛下も、例外なく……ですか……?」
「ああ。つねに警戒を怠るな。そうしないと、先程のような恐ろしい目に遭う」
「お、大袈裟ですよ! 今のは、きっと何かの間違いで……」
「――やはり、君のそばには俺がいないと駄目なようだな」

 艶っぽく紡がれる低い声に心臓は高鳴り、浮き足立ってしまう。
 ラシリネはそれを隠すのに必死だった。

(陛下ったら……! なんて素敵なの!? 一生、このままでいたくらいだわ……)

 いつまでも聞き惚れていたいと言わんばかりに金色の瞳を細めていると、先程まで瞳の奥底に憎悪を滲ませていたとは思えぬ優しい表情で、こちらをじっと見つめた。

「今まで、悪かった……」
「いえ……。そんな……。陛下は何も、悪くありません。私が、聖女になりたいなんて我儘を言ったせいで……」

 恐縮しながらも同じように謝罪を試みれば、紫色の瞳がこちらを射抜く。

「これからもそばで、ラシリネを守らせてほしい」

 真剣な眼差しの奥に秘められた並々ならぬ想いを垣間見たら、とてもじゃないが拒絶などできない。

「それは、私の台詞ですよ」

 こうして2人は口元を綻ばせ、いつまでも笑い続けた。
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