追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
8・結ばれた2人
 ラシリネは陛下と和解を済ませて幸せいっぱいなままスノーエルとすっかり日課となったランニングに向かい、すぐさまそれを後悔した。

「ハズレ聖女と呼ばれていた女らしく、届かぬ想いをいだき続け、不幸になればいいのよ!」

 アデラプス王国の聖女となったはずの妹が、姿を見せたのだ。
 彼女はダリウスに好意を寄せているかのような発言をしたあと、捨て台詞を残して去って行った。

(何が起きたの……?)

 久方ぶりに顔を合わせたアオリとの再会を喜ぶ暇もない。
 金色の瞳を白黒させながら、事態を把握するまでには長い時間を有した。

「わふ?」

 スノーエルに「どうしたの?」と顔を覗き込まれて、ようやく状況が飲み込めてくる。

(陛下は想い人などいないと、はっきり宣言してくださったけれど……)

 あれはきっと、これ以上ラシリネを傷つけないための配慮だったのだろう。

(私が知らないだけで、これまで何度も逢瀬を重ねていたんだわ……)

 ――幸せに満ち足りていた聖女は最愛の男性にいい人がいると知り、天国から地獄へと突き落とされた。
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