追放されたハズレ聖女が皇帝の寵愛を受けたら、大帝国の守護聖女と呼ばれて伝説になりました
 本物の聖女であれば、「その国を守る」と決意して就任式を終えた時点で、自国に縛りつけられる定めなのだから……。

「あら? ダリウスが好きなのに聖女になってしまった姉様。ごきげんよう!」
「どうして、ここに……」
「陛下へ会いに来たに、決まっているでしょ?」

 皇帝の話題を出した瞬間に見せたラシリネの反応は、傑作だった。

(ふふ。いい気味。まさかあたしの口から、あいつの名前が出るなんて思ってもみなかったんでしょうね!)

 彼女は自分があの男に恋愛感情をいだいているのではないかと勘違いをして、小さな身体を小刻みに震わせている。

(姉様のせいで、あたしだって随分と不利益を被ったもの。少しくらい、からかってやったって罰は当たらないわよね?)

 アオリは意地汚い笑みを浮かべ、ラシリネを煽る。

「あなたのほうが聖女になった期間は長いのだから、ご存知でしょうけれど! 神ではなく人間と想いを通じ合わせれば、天罰が下るわ!」
「わ、わかっています……。ですから、私は……」
「ハズレ聖女と呼ばれていた女らしく、届かぬ想いをいだき続け、不幸になればいいのよ!」

 妹は姉に向かって吐き捨てると、その場をあとにした。
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