恋は手のひらの上で
夜でも

見慣れない白。

─────天井?
カーテンの隙間から、朝の光が細く差し込んでいた。

ゆっくり視線を動かす。
見たことのない家具が見えた。

部屋は静かで、どこか落ち着いた匂いがする。
柔軟剤とも違う。
でも、どこかで嗅いだことがある気がした。

体を動かそうとすると、まだ少し重い。
頭痛も残っているし、倦怠感もある。


昨夜の記憶が、途切れ途切れに浮かんでくる。


会議室。
椎名さん。
車。

それから…。
ゆっくりと寝返りを打つ。

そこで、視界にソファが入った。
そして、その上に人影。
一瞬、思考が止まる。


椎名さんだった。
ソファの背にもたれるようにして、メガネをかけたまま眠っている。

たぶん、まともに寝ていない。
テーブルの上には、私のスマホと、椎名さんのノートパソコンが開いたまま置かれていた。


腕を軽く組んだ姿勢のまま、首が少しだけ傾いている。
いつも整っているはずの髪は、今は少しだけ乱れていて、ネクタイも外してある。
白いシャツは、一日の仕事量を表すみたいにちゃんとシワがついていた。


─────え?

頭が一気に覚醒する。
ここ、どこ?
なんで椎名さんが?

というか、なんで私、ベッドで。


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