【完結】隣国のモフモフ騎士団長様、番ではない私でよろしいのですか?

一章『婚約破棄、お受けいたします』

 海に囲まれた島国。オズウェル・モーリャントが王として治めるモーリャント王国。

 国土こそ広く恵まれたものに見えるが、実態は豊かさとはかけ離れていた。

 気候は安定せず作物や植物が育ちにくい環境。

 加えて、近年深刻な水不足の問題を抱えており、最南では国土面積の四分の一に及ぶほど広大な砂漠化が起きていた。

 静かにその範囲は広がりを見せており、早急に国をあげて施策に取り組まねばならぬのは明白だった。

 だが、国を統治する者として真っ先に国費を投じるべき施策であるはずなのに、現状これまでと変わらない額、むしろ毎年施策にかける費用は少しずつ減額されていた。モーリャント王国を守るために何が必要かまるでわかっていない。大臣たちが悲鳴をあげる。

 反して、王族の指示で際限なく開かれる豪華な舞踏会。一度舞踏会を開くだけでも、相当な国費を投じねばならないというのにだ。

 国民たちは何とかできる範囲で工夫して田畑を耕すが成果などたかが知れている。

 生活を豊かにするため国の改革費用として自分たちは税金を納めているはずだ。それなのに一向に豊かにならない生活に毎日重いため息を落としていた。

 国民たちは疲れ切り、努力の末納めた大切な国費の使い方に不満が募っていた。

 やがて、王族の私服を肥やすやり方に、呆れ返り、怒りを募らせ、諦めて。国を捨てる者も出始めたーー。



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