最低で大嫌いなあなた、結婚してください

失踪

 幸せから一転、祥吾は荒れていた。

 突如として鞠花と連絡がつかなくなったのだ。

 電話をしても通じない。

 メッセージアプリで連絡をしようとしても、アカウントがない。

 一生懸命大切に扱ったし、丁寧に接した。

 本当に改心して、鞠花のためなら何でもするつもりでいた。

 なのに、これだ。

「どうして!」という思いが荒れ狂い、彼は癇癪を起こした子供のように叫び、家の中の物を投げつけた。

 連絡がつかなくなってすぐ鞠花の家へ行ったが、もぬけの空になっていた。

 彼女が勤務している病院に向かっても、個人情報を教えてくれるはずがない。

 祥吾は忽然と姿を消した鞠花になす術もなく、連日酒を飲んで荒れるしか解消法を見い出せずにいた。

 鞠花に捨てられたなら、自分も元のようにクズとして生きてやると思ったが、どうしても断ち切れない未練がある。

 一度は心の底から改心して鞠花と結婚する事を考えたからこそ、祥吾は「正しく生きていれば鞠花が戻ってくれるのでは……」という期待を抱いていた。

 彼の姿はまるで、母親を見失った幼い子供のように見えた。



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