この恋、予定外。
ちゃんと見てよ
早朝のオフィスは、照明はついているのに空気だけが少しだけ遅れているみたいに静かだ。

パソコンを立ち上げて、昨日まとめたメモを開く。
机の上で頬杖をついた。


“LastFit 試作09”。
軽い。なじみが早い。
カバーは控えめ。でも、整う。

箇条書きにした言葉を、ひとつずつ並べ替えていく。
順番を変えるだけで、印象が変わる。
どこを推すかで、見え方が変わる。

どうしたら、より多くの人に手に取ってもらえるだろうか。


「……うーん」

小さく唸って、指を止める。

「軽い」「なじみがいい」
それだけなら、いくらでもある。
一度、画面の文言を消す。
並べていた言葉が、すっと消えていく。

「崩れにくい」「カバー力」
どれも間違っていないのに、どこにも引っかからない。
これじゃ、埋もれる。

キーボードに指を戻す。


“隠すんじゃなくて、整える”

打ち込んで、少しだけ眺める。
……悪くない。
でも、まだ弱い。

もう一度、言葉を削る。

“整える”、それだけ残してみる。

…シンプルすぎる。
だから、逃げ場がない。


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