この恋、予定外。
この人、笑うんだ
朝の営業部は、コーヒーの匂いがただよう。

パソコンの起動音。
電話のコール音。
キーボードを叩く音が、あちこちから聞こえてくる。


私はデスクで資料をまとめながら、ちらっと隣を見る。

高橋さんは腕を組んで、椅子に浅く腰掛けていた。
相変わらずやる気のない顔で、モニターを眺めている。


─────なんでこの人、営業フロアにいるんだろう。

疑問に思った瞬間だった。


「森川」

低い声が聞こえる。
顔を上げると、桐山課長がこちらを見ていた。

「今日、外回りだよな?」

「はい!」

私はすぐに立ち上がる。

「吉祥寺と三鷹のドラスト回ります!」

課長はうん、とうなずいてから、隣を指さした。

「高橋くんも一緒に行って」

一瞬、空気が止まった。

「……え?」
「……は?」

ほぼ同時に、私も高橋さんも聞き返していたと思う。

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