この恋、予定外。
ものすごく申し訳ないが、部署が違うのも相まってまったく知らない。商品名は分かるけど、あの商品のヒットは他人事のようだった。

そんなことよりも、まったく違う湧き上がる気持ち。

「瑞希さん、私ね」

瑞希さんがこちらを見る。

「めちゃくちゃ驚いてます。高橋さんには、人の心ないと思ってました」

思いきり真顔で言ったからか、彼女は苦笑いした。

「あるよ」

「いや、もう、片思いだの恋だの、想像できない!無理!」

「今は終わってるはずだよ」

─────つまり、実らなかったということだ。


腕を組んで壁に背中を預けて、仏頂面でこちらを見下ろしてくるロボットみたいな人だと思っていた。


不意に店のざわめきが耳に戻ってくる。

私はグラスを持ち上げながらつぶやいた。

「あの人、ちゃんと…人間だったんですね」


意外な事実が発覚しても、まだなんとなく不思議な感覚でいた。

彼が誰かに夢中になる。
そんな場面は、今の私には浮かばなかった。


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