この恋、予定外。
褒め言葉だから
朝の空気はいつも澄んでいて、そして冷たい。


私はいつものコースを走っている。
靴底がアスファルトを叩く音。

一定の呼吸。
リズム。
体を動かしていると、余計なことを考えなくて済む。


─────はずなのに。

ふと、高橋さんの顔が浮かぶ。
『最初から、なんもなかったよ』

あの声。
あの言い方。
私は小さく息を吐いた。

「…ほんとかな」

あんなふうに言う人には、見えなかった。


朝の公園はまだ人が少ない。

砂のにおい。
湿った芝生。
遠くで犬を散歩させている人が一人いるくらい。


公園の外周を何周かして、最後の直線を走り抜けた。
そして、ゆっくりスピードを落としていく。

呼吸を整えながら、公園の中央にあるベンチへ向かう。
いつもストレッチをする場所だ。

五キロ。
いつもの距離だ。

スマートウォッチでタイムと時刻を確認し、大きく深呼吸した。


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