この恋、予定外。
お久しぶりです
朝の営業フロアは、つねに慌ただしい。

パソコンの起動音。
コーヒーの匂い。
人の出入りが激しい。


私は出勤してすぐ席に座り、今日の外回りの資料を確認する。

ひと通り目を通して、ふと顔を上げた。

営業フロアの奥。
商品開発部のエリアは、ここからだとよく見えない。
ただ、人気が少ないことだけは分かる。


「…あれ」

気づいた瞬間、自分で少しだけ眉を寄せた。
見ようとして見たわけじゃない。なのに、自然とそっちに視線が向いていた。


…なんで。
理由を考えかけて、やめる。


「茉央?」

後ろから声をかけられて、はっと振り返る。
瑞希さんがタブレットを持って立っていた。

「開発部、あんまり人いないなーって。どうしてですかね?」

ごまかすように言うと、瑞希さんも同じ方向を見る。

「あー、こもってる人多いからね。見えないだけじゃない?」

「あ、そうなんですね」

納得したふりをして、ようやく視線を戻す。

「この時期、忙しいですもんね」

「だねー」


それだけの会話。
それだけの会話なのに。
さっき自分が見ていた場所が、妙に頭に残る。

その理由だけは、考えないようにした。




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