悪辣検事は初恋妻をこの手に捕らえて逃がさない。
第九章 決死の覚悟
つかさは実家に一泊して翌日には自宅に戻った。
祖父は検査のため二日程入院し、退院した。
しばらくは歩けないので車椅子を借りることになったそうだ。
逐一母から祖父の様子が送られてくるが、案外元気そうなので安堵する。
いや、まだまだ安心できる状況ではない。
(これからどうしよう)
頼久と別れるつもりはない。だが祖父のように頼久まで危害が及ぶと考えたら下手には動けない。
それどころか他の家族も危ないかもしれない。
「……かさ、つかさ!」
声をかけられてハッとした。
顔を上げると頼久が心配そうにつかさの顔を覗き込んでいる。
「どうした? 真っ青だぞ」
「あ……、ううん。なんでもない」
ソファから立ち上がろうとして頼久に腕を掴まれる。
「何かあったのか?」
「あ……」
「つかさ、何かあったのなら話してくれ」
頼久はじっとつかさの目を見つめる。心の底から心配してくれているのがわかる。
やっぱりこのまま黙っているのは良くない。
すべてを彼に打ち明けよう。
「頼くん、あのね――」
言いかけた時、つかさのスマホが鳴った。
メッセージが届いたのを見て、血の気が引いた。
「誰かからメールか?」
ハッとしてつかさはスマホを隠す。
「……実は、最近変なメールがよく届くんだ」
「どんなメールだ?」
「殺人犯のいる農家がどうとかって……ブロックしても何通もくるの」
「しょうもないことするやつがいるんだな。気にするな」