『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました
6.決着
「え、叔父さんが?」

 実家に借金したまま行方知れずになっていた父の弟が、頭を下げにきたと聞いて、紗月は思わず声を上げた。

《そう。さっきまで家にいて、頭を畳に擦り付けて謝ってたわ》

 電話越しの聞こえる母の声も驚きを隠せない様子だ。

 実家に借金したまま行方知れずになっていた父の弟が、頭を下げにきたらしい。

「そうだったんだ。お父さんはなんて?」

《それが、珍しく『お前のために、紗月や航生君にどれだけ迷惑を掛けたと思っている』って怒ってたわ。まあ、叔父さん今は、定職についてコツコツ働いているらしいから、きちんと借金を返すのを条件に許してたけどね》

「お父さんって怒れるんだ……」

 紗月は感嘆の声を漏らす。人のいい父もさすがに伯父には腹に据えかねていたのだろう。

《航生君が手配して、見つけてくれたのよね。改めてお礼に伺うけど、まずは紗月から伝えておいてくれる? 借金は家が責任を持って取り立ててお返しするから》

「うん、わかった」

 母との電話を切ったタイミングで、リビングのドアが開く。

「終わったよ。電話していたのか?」
< 206 / 235 >

この作品をシェア

pagetop