かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~

見知らぬ親族の噂

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 次の日も宿に閉じ込められたままで、ミュシカは悲しげだ。懸命に相手をするマルーシャたちも疲労困憊。

 ――だが、ミュシカの両親だって郊外の荘園にあるメレルスの館から出ていないのだった。もう一ヶ月以上も。

「いいかげん、つまらないのよ」

 距離をへだてた娘と同調するように、リージヤは拗ねた。

「うちに帰りたい。ミュシカに会いたいの!」
「僕だって! ああ商売はどうなってるんだろう。父さんが回してくれてるかなあ。心労で寝込んでないといいけど」

 夫婦そろってハアアと大きなため息をつく。
 犯人のメレルスからは「そのうちに冬を呼んでみせろ」と言われたが、基本的には何もされていない。つまり危害を加えられることはなかったが、やることもないのだ。暇すぎる。

「冬告げ姫ごっこも飽きちゃったわよ」

 そんな遊びと、館の中の決まった範囲を歩くしかすることがないのだ。
 衣食の面倒をみてくれる中年の女は申し訳なさそうにするが話すのを禁じられているようだし、無愛想な家令は感じが悪いし、メレルス本人はあまり顔を見せないし、とにかく手持ちぶさただ。
 たまには夫婦喧嘩でもしてみるかと仲良く相談し始めた時に、表が騒がしくなった。

「メレルスかな」
「――まあうるさいこと。尊大なあの男には会いたくなくってよ」

 瞬時にごっこ(・・・)を始めた妻に吹き出しかけながら、ルスランは扉を開けて廊下をうかがった。
 珍しく大きな声がする。何か命令するような口調なのは、やはりメレルスが来たのだろう。何かあったのだろうか。

「――少し警戒しよう」

 これは変化のきざしかもしれない。
 良い方へ、だといい。こんなざわめきは、ここに来て初めてのことだった。
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