かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
「いろいろやりましたよ」

 マルーシャもやや疲れた風だった。子どもの相手を一日するというのは、けっこう体力がいる。
 最初はおまじないの復習からだった。だがミュシカはすぐに飽きる。それから宿の中をブラブラし、部屋に戻ってあやとりをし、カードを教えてみたり踊ってみたり。なんとか夕方まで乗りきったというのがマルーシャの正直な感想だった。

「かなりネタ切れです」
「……明日も、頑張ってくれる?」
「ううむ……」

 ダニールがうめいた。明日。明日はどうすればいい。
 一時間や二時間おまじないを教えるのとはわけが違った。これまでも一人でミュシカを引き受けたことがあるし問題ないと思っていたが甘かったようだ。そんな時はいつも街や庭園にいられたのだから。街を散歩していれば、ミュシカの気を引く物がそこらにあふれているのだし。

「こんなに外に出たくなるなんて、生まれて初めてかもしれない……」
「そうよねえ。あしたはおそとにいこうよ、お父さま」

 便乗しておねだりされるが、そういうわけにもいかない。

「我慢しましょうねミュシカ」

 微笑んでたしなめながら、マルーシャも実はほとほと困ってしまっていた。

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