かりそめ家族、妖精の国へ ~寂しがり姫を偽母として甘やかしたらカタブツ学者さまに愛されました~
館の中の気配を探るが、すぐに静けさが戻る。仕方なく二人は室内でおとなしく待った。メレルスが来ているなら、必ずこちらの様子を確認するはずだ。
「――ご機嫌いかがかな、冬告げの姫」
ノックがあり、返事も待たずに扉が開いた。その無作法にリージヤが顔をしかめる。
「あなたが来るまでは悪くなかったのだけれど」
「それは申し訳ない」
メレルスは珍しくうすら笑いを浮かべていた。これはどういうことだ。ルスランは無表情を保って考えた。悪い方に転がっているのだろうか。
「先ほどは少々うるさくいたしましたな。新しい客を招きたいと思い、その支度を指示していたのですよ」
「――そう」
リージヤは興味なさそうに答えた。
「私はこれでも姫の無聊をおなぐさめしたいのです。親族をお招きしたらお喜びいただけましょう」
「……親族?」
ルスランは静かに尋ねた。微妙な言い方だった。ミュシカのことなら家族と言うだろう。侯爵家の誰かなら、いいかげん国際問題だ。ルスランの側なら両親か、ダニールか。
「ジートキフ――貴様の兄の、妻と娘だ」
ルスランとリージヤは無言だった。いや、ポカンとするのをこらえるので精いっぱいだったのだ。
兄であるジートキフといえばダニールしかいないが、その妻と娘?
「あのダニール・ジートキフにそんなものがいたとは。よく隠していたものだな」
メレルスはクックッと低く笑いながら続ける。ルスランは無表情をつらぬいた。何を言っているのかまったくわからない。情報がほしい。
「私が調べきれないほど秘密にされていたとは、あの細君は何者だ? ずいぶん若いらしいが」
「――誰のことかしら」
リージヤは冷ややかに言い返した。これは芝居じゃない。義兄ダニールに妻などいないのだ。
「――ご機嫌いかがかな、冬告げの姫」
ノックがあり、返事も待たずに扉が開いた。その無作法にリージヤが顔をしかめる。
「あなたが来るまでは悪くなかったのだけれど」
「それは申し訳ない」
メレルスは珍しくうすら笑いを浮かべていた。これはどういうことだ。ルスランは無表情を保って考えた。悪い方に転がっているのだろうか。
「先ほどは少々うるさくいたしましたな。新しい客を招きたいと思い、その支度を指示していたのですよ」
「――そう」
リージヤは興味なさそうに答えた。
「私はこれでも姫の無聊をおなぐさめしたいのです。親族をお招きしたらお喜びいただけましょう」
「……親族?」
ルスランは静かに尋ねた。微妙な言い方だった。ミュシカのことなら家族と言うだろう。侯爵家の誰かなら、いいかげん国際問題だ。ルスランの側なら両親か、ダニールか。
「ジートキフ――貴様の兄の、妻と娘だ」
ルスランとリージヤは無言だった。いや、ポカンとするのをこらえるので精いっぱいだったのだ。
兄であるジートキフといえばダニールしかいないが、その妻と娘?
「あのダニール・ジートキフにそんなものがいたとは。よく隠していたものだな」
メレルスはクックッと低く笑いながら続ける。ルスランは無表情をつらぬいた。何を言っているのかまったくわからない。情報がほしい。
「私が調べきれないほど秘密にされていたとは、あの細君は何者だ? ずいぶん若いらしいが」
「――誰のことかしら」
リージヤは冷ややかに言い返した。これは芝居じゃない。義兄ダニールに妻などいないのだ。