社長、その溺愛は計算外です
第13話 社長、その溺愛は計算外です
それから、さらに三週間ほどが過ぎた。
十二月の東京は、クリスマスのイルミネーションで彩られていた。街のあちこちで、きらびやかな光が輝いている。
クリスマスイブの夜。
圭佑さんは、私を「特別な場所に連れて行きたい」と言った。
「どこに行くんですか?」
「着いてからのお楽しみ」
圭佑さんが、口の端を上げる。
タクシーが止まったのは、見覚えのある場所だった。
「ここは……」
渋谷の映画館。外壁のイルミネーションが、クリスマスの夜に煌めいている。
「私たちが、初めてデートした場所」
「そう」
圭佑さんが頷く。
「あの時から、俺は梓のことが気になっていた。映画館のシートで、君の横顔を見て──もっと一緒にいたいと思ったんだ」
その言葉に、心臓が跳ねた。
「今日は、あの時の続きを」
席に案内されると、あの時と同じ──中央よりやや後ろの席だった。
「覚えていたんですか、場所まで」
「当然だろう」
圭佑さんが、当たり前のように言う。その横顔が、イルミネーションの光を受けて柔らかく見えた。
映画が始まった。あの時と同じように、アクション映画。
内容はほとんど頭に入ってこなかった。隣に圭佑さんがいる──ただそれだけで、胸がいっぱいだった。
途中、圭佑さんが私の手を握った。あの時は恐る恐る握られた手が、今夜は迷いなく、自然に重なっている。