あと30日で、他人に戻るふたり

13日目 やめればいいのに

日曜日の午前中、ずっとカフェで時間を潰していた。

八時過ぎに起きたものの大地さんはまだ寝ていて、洗濯を回したあと時間ができたので一人の時間を作っていた。


休日の午前中のカフェは、思っていたよりも静かだった。

コーヒーの匂いと、小さな話し声だけがゆっくりと流れている。


窓際の席に座って、カップを両手で包み込む。

ここに来れば、少しは頭の中が整理できると思ったのに。

むしろ、余計に考えてしまう。


昨日のことを思い出す。

あの距離も、
触れられた感触も、
ちゃんと覚えている。


こんなの、続けていいわけがない。

あと少しで、あそこを出ていく人なのに。


それでも。
離れたくないと思ってしまうのは、どうしてなんだろう。


ため息が、コーヒーの湯気に紛れて消えた。


名前を呼ばれただけで、あんなに意識してしまうのに。

あの距離で、触れられて。
何もなかったことにするなんて、できるはずがない。


答えを出そうとして、やめた。

出したところで、きっと変わらない。


カップの中のコーヒーは、もうとっくに冷めていた。


時計を見て、そろそろ戻ろうかと思った。
さすがにお昼近くまでコーヒーたった一杯では粘れない。

静かに席を立ち、お店をあとにした。




••┈┈┈┈••

< 184 / 403 >

この作品をシェア

pagetop