あと30日で、他人に戻るふたり
17日目 ちゃんと起こしてよ
この日の大地さんは、私と一緒に出勤ではなかった。
朝からやたらとのんびりしていて、支度をする気配もなくスウェット姿のままソファでスマホを見ている。
「今日はお休みなんですか?」
メイクを終えて着替えた私が尋ねると、彼は「いや」と首を振った。
「仕事なんだけど、一昨日ほぼ完徹したから今日は調整して少し遅めに出ることにした」
「自分で出勤時間とか変えられるのいいですね」
「まあ、そういう仕事してるから」
だらっと寝転んだまま、スマホから視線をずらすことなく答える。
電車の時間を気にしている私とは大違い。
バッグを肩にかけて、忘れ物がないか確認していると彼が首をかしげる。
「美月は?もう出るの?」
「はい、もう行かないと」
そう返しながら、なんとなく落ち着かない。
いつもなら同じタイミングで支度をして、一緒に玄関を出るのに。
今日は私だけが出勤の準備を終えて、大地さんだけが部屋に残っている。
それだけのことなのに、妙に変な感じがした。
「じゃ、気をつけて。いってらっしゃい」
ソファに寝そべったまま、大地さんがスマホから目を離さずに言う。
「……はい。行ってきます」
返事をして玄関へ向かいながら、少しだけ思う。
こういう何気ないやり取りも、あと二週間くらいで終わるんだな、と。
仕事の時間まで自分で調整してしまう大地さんと、決められた時間に合わせて動く私。
正解はもちろんないけれど、そういう働き方が少しだけ羨ましいとも思った。
ひとりで玄関のドアを開けて、ちょっとだけ名残惜しい気持ちを残しながらあとにした。
••┈┈┈┈••
朝からやたらとのんびりしていて、支度をする気配もなくスウェット姿のままソファでスマホを見ている。
「今日はお休みなんですか?」
メイクを終えて着替えた私が尋ねると、彼は「いや」と首を振った。
「仕事なんだけど、一昨日ほぼ完徹したから今日は調整して少し遅めに出ることにした」
「自分で出勤時間とか変えられるのいいですね」
「まあ、そういう仕事してるから」
だらっと寝転んだまま、スマホから視線をずらすことなく答える。
電車の時間を気にしている私とは大違い。
バッグを肩にかけて、忘れ物がないか確認していると彼が首をかしげる。
「美月は?もう出るの?」
「はい、もう行かないと」
そう返しながら、なんとなく落ち着かない。
いつもなら同じタイミングで支度をして、一緒に玄関を出るのに。
今日は私だけが出勤の準備を終えて、大地さんだけが部屋に残っている。
それだけのことなのに、妙に変な感じがした。
「じゃ、気をつけて。いってらっしゃい」
ソファに寝そべったまま、大地さんがスマホから目を離さずに言う。
「……はい。行ってきます」
返事をして玄関へ向かいながら、少しだけ思う。
こういう何気ないやり取りも、あと二週間くらいで終わるんだな、と。
仕事の時間まで自分で調整してしまう大地さんと、決められた時間に合わせて動く私。
正解はもちろんないけれど、そういう働き方が少しだけ羨ましいとも思った。
ひとりで玄関のドアを開けて、ちょっとだけ名残惜しい気持ちを残しながらあとにした。
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