あと30日で、他人に戻るふたり

18日目 こんなのでよければ、

朝から営業部はやたらと騒がしかった。

週末に予定されている小金井案件の打ち上げの話で、あちこちから笑い声が聞こえてくる。


「店どこだっけ?」

「八代さんが予約してくれてるらしいですよ」

「絶対うまいとこじゃん」


そんな会話が飛び交う中、私は隣の開発推進部のスペースでパソコンを立ち上げながら小さく息をついた。


「穂村さん、明日は私も行くのー!よろしくねー」

営業の一個上の女性の先輩である浅井さんが、コンビニのカフェラテを片手に笑いかけてくる。

彼女が来てくれることにほっとする。

話しやすくて、気さくで。
わりとフラットに構えずに話ができる先輩は、けっこう貴重だったりする。


「開発から竹中さんも来るって言ってたよ。穂村さんも安心でしょ?」

「そうなんですね!あれ、でも“安心”……?」


確かにベテランの竹中さんが参加してくれるのも嬉しいけれど。

その言い方が、なぜか少しだけ引っかかった。

“安心”という浅井さんの言葉が気になって反応すると、彼女はちょっと身をかがめてコソッと私に耳打ちする。


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