あと30日で、他人に戻るふたり
「ぶっちゃけ八代さんと中村さんが一緒になると、たまに悪ノリ始まったりするからさー。だから竹中さんみたいな落ち着いた人来ると、“安心”って思っちゃう」

「…悪ノリ、ですか」


そういえば、私は営業の中村さんとはあまり接点がない。
八代さんと仲がいいのは知っているけれど、悪ノリするなんて気にしたこともなかった。

カフェラテをひと口飲んだ浅井さんが「深い意味はないんだけど」と付け足す。

「別に嫌な人たちじゃないんだけどね。飲むとテンション上がるっていうか」

「……なるほど」


すると、後ろから聞き覚えのある声。

「僕も行くからよろしく。六人って聞いてたけど、マジで関わったメンバーだね」

営業の齋藤さんだった。
彼は今回の案件で私が竹中さんと開発側でいったん止めたのに、嫌な顔もせずに受け入れてくれた人だ。

営業っぽい押しの強さはあるけれど、話は通じる人だ。

そんな齋藤さんとわりと仲がいいのか、浅井さんが軽口を叩く。

「私は関わってないけど誘われたんですよ?」

「あー、あれじゃない?穂村さんが女性ひとりになるからじゃないの?」

「八代さんってそーゆーとこは、気を回しますよねぇ」


二人はそんな会話をしながら、私の元からいなくなってしまった。




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