あと30日で、他人に戻るふたり

19日目 堂々としてていい

土曜日。


目を覚ますと、リビングからテレビの音が聞こえてきた。

時計を見ると、十時前。
はっとして身体を起こす。めちゃくちゃだらだらと寝てしまった!

もう少し早く起きて朝のんびりするつもりが、完全にやらかしだ。


急いでリビングへ行くと、ふわっとコーヒーの香りが部屋中を包んでいた。

大地さんはいつものソファの定位置に座り、スウェット姿ながらも珍しくパソコンを開いている。
私に気づくと顔を上げた。


「おはよ」

「おはようございます」


挨拶をしたらすぐにパソコンが閉じられた。

その画面に、たぶん賃貸情報サイトが映っていたのはちらりと見えた。

……物件、探してたのかも。
そう思っただけで、ちくりとどこか胸が軋む。


その事実から目を逸らすように、「コーヒーのいい匂いしますね」と声をかけた。

「うん。準備だけしてた。パン焼いてよ」


大地さんは立ち上がって、キッチンへと向かっていく。

相変わらずの寝ぐせがすごい後ろ姿を追いかけながら、まだどこかであのパソコンの画面のことが気になりつつも、今は考えないようにしようと決める。


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