あと30日で、他人に戻るふたり

26日目 丁重に扱う

彼と過ごす最後の週末の朝は、小雨が降っていた。
まるで私の今の気持ちみたいに。


もうずっと前から起きているのに、リビングへなかなか行けない。
永遠にゴロゴロしていた。


私、昨日なんて言った?
だいぶ告白じみたこと言ってなかった?

大地さんどんな顔してたっけ。
めちゃくちゃ困ってたような気がする。いや、“気がする”じゃなくて、絶対に困ってた。


この寝室から出たら、もう起きてる?まだ寝てる?
どっちにしろ、顔を合わせたら気まずい。


時計を見ると、九時過ぎ。
洗濯や掃除もしたいし、さすがにもう起きないと。

……あぁ、どんな顔をしたらいいんだろう。


気が重いまま、そっと寝室のドアを開けた。


リビングはカーテンも開いていて明るくて、外の薄暗い光がよく見える。
しとしとと雨音が静かに聞こえた。


「あ、おはよう」

ベランダから見える風景に気を取られていたら、不意に大地さんの声が聞こえて肩がびくっと跳ねる。

どんな顔をしたら、とか今の今まで考えていたのに。
振り向いたらいつもの顔で彼が立っていたので、拍子抜けした。

「…おはようございます」

わりと普通に挨拶はできた。


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