クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
六話 残酷な再会
ゴールデンウィーク真っ只中の今日、私は隼人さんと成田空港近くの航空博物館にいた。「こどもの日」を記念したイベント【青空教室・現役パイロットによるトークショー】のゲストとして招かれたからだ。
視線を隣に向ければ、パリッとした機長の制服姿の隼人さんが立っていた。私と違い、堂々とステージに立つ隼人さんは全く緊張した様子はなく、子どもたちの無邪気な質問に答えている。
「機長さんの帽子にはキラキラの葉っぱの模様がついているのはどうしてなんですか?」
最前列の席の男の子が隼人さんに質問している所だった。
隼人さんは被っていた制帽を手に取り、会場にいる三百人の子どもたちに見えるように掲げた。
「いい質問だね。これは月桂樹の葉でね。帽子に金色の模様が入っていると、誰が責任者かひと目でわかるだろう? だから、この金色の月桂樹は飛行機の責任者の印なんだよ」
マイク越しの隼人さんの声はとても優しくて、コックピットでのクールな機長とは別人のよう。そんな彼に自然と目尻が下がる。
「では、他に機長と副操縦士の制服の違いはわかるかな?」
隼人さんの問いかけに、勢いよく複数の手が上がった。
「じゃあ、真ん中の席の赤い服の女の子」
指名された女の子が立ち上がり、係員に渡されたマイクで話す。
「袖口に、四本のラインが入るのが機長さんで、三本なのが副操縦士さんです」
恥ずかしそうに話す女の子に隼人さんが頷いた。
「正解。よく知っているね。飛行機は空の船と呼ばれることから、パイロットの制服は海軍の制服をお手本にしているんだ」
「へえーそうなんだ!」
会場の子どもたちから元気な返事が返ってくる。
「隣の南雲副操縦士の袖口は三本ラインだろ?」
子どもたちの目が一斉に私に集中して思わず背筋が伸びる。
「じゃあ、今度は南雲副操縦士に副操縦士の仕事について話してもらいます」
打ち合わせにない突然の振りに心臓が跳ね上がった。隼人さんを横目で見ると、いたずらっぽい笑みを浮かべている。
「えーと……副操縦士の仕事はですね。機長さんのサポートをしながら、皆さんの乗る飛行機を安全運航することです」
マイク越しに話すと一斉に子どもたちが首を傾げる。
今の言い方は少し難しかったかもしれない。
「つまり、パイロットは二人で役割を分担して空を飛びます。操縦桿を握って飛行機を動かす人を『PF』。隣で計器をチェックしたり、無線で地上の管制官とお話をしたりする人を『PM』と呼びます。私は副操縦士として、機長さんと一緒にこの二つの役割を交代しながら、安全に空を飛べるように頑張っています」
私の説明に子どもたちが「へぇー」と声を上げてくれたので、ほっとした。何とか私の説明は伝わったようだ。
その後も子どもたちからの質問に何とか答えて、二時間のトークショーは終わった。
「高月機長、南雲副操縦士ありがとうございました。みんな二人に拍手」
司会者の合図で子どもたちが一斉に拍手をしてくれる。胸が温かくなる優しい拍手をもらいながら舞台袖に退場した。
視線を隣に向ければ、パリッとした機長の制服姿の隼人さんが立っていた。私と違い、堂々とステージに立つ隼人さんは全く緊張した様子はなく、子どもたちの無邪気な質問に答えている。
「機長さんの帽子にはキラキラの葉っぱの模様がついているのはどうしてなんですか?」
最前列の席の男の子が隼人さんに質問している所だった。
隼人さんは被っていた制帽を手に取り、会場にいる三百人の子どもたちに見えるように掲げた。
「いい質問だね。これは月桂樹の葉でね。帽子に金色の模様が入っていると、誰が責任者かひと目でわかるだろう? だから、この金色の月桂樹は飛行機の責任者の印なんだよ」
マイク越しの隼人さんの声はとても優しくて、コックピットでのクールな機長とは別人のよう。そんな彼に自然と目尻が下がる。
「では、他に機長と副操縦士の制服の違いはわかるかな?」
隼人さんの問いかけに、勢いよく複数の手が上がった。
「じゃあ、真ん中の席の赤い服の女の子」
指名された女の子が立ち上がり、係員に渡されたマイクで話す。
「袖口に、四本のラインが入るのが機長さんで、三本なのが副操縦士さんです」
恥ずかしそうに話す女の子に隼人さんが頷いた。
「正解。よく知っているね。飛行機は空の船と呼ばれることから、パイロットの制服は海軍の制服をお手本にしているんだ」
「へえーそうなんだ!」
会場の子どもたちから元気な返事が返ってくる。
「隣の南雲副操縦士の袖口は三本ラインだろ?」
子どもたちの目が一斉に私に集中して思わず背筋が伸びる。
「じゃあ、今度は南雲副操縦士に副操縦士の仕事について話してもらいます」
打ち合わせにない突然の振りに心臓が跳ね上がった。隼人さんを横目で見ると、いたずらっぽい笑みを浮かべている。
「えーと……副操縦士の仕事はですね。機長さんのサポートをしながら、皆さんの乗る飛行機を安全運航することです」
マイク越しに話すと一斉に子どもたちが首を傾げる。
今の言い方は少し難しかったかもしれない。
「つまり、パイロットは二人で役割を分担して空を飛びます。操縦桿を握って飛行機を動かす人を『PF』。隣で計器をチェックしたり、無線で地上の管制官とお話をしたりする人を『PM』と呼びます。私は副操縦士として、機長さんと一緒にこの二つの役割を交代しながら、安全に空を飛べるように頑張っています」
私の説明に子どもたちが「へぇー」と声を上げてくれたので、ほっとした。何とか私の説明は伝わったようだ。
その後も子どもたちからの質問に何とか答えて、二時間のトークショーは終わった。
「高月機長、南雲副操縦士ありがとうございました。みんな二人に拍手」
司会者の合図で子どもたちが一斉に拍手をしてくれる。胸が温かくなる優しい拍手をもらいながら舞台袖に退場した。