クールな機長は契約恋人の副操縦士を離さない
「契約について、他に何かあるか?」
私の頭から手を下ろすと、隼人さんが再び契約書を見た。
「あの、スキンシップの所でハッキリ書いて欲しいのですが」
「なんだ?」
「『絶対に一線は越えないこと』。いくら恋人役でもそこだけは譲れません」
精一杯の勇気を振り絞って口にすると、隼人さんは意表を突かれたように両目を見開き、それから低く笑った。
「安心しろ。瑞希を襲うほど俺は飢えていない」
隼人さんの言葉にほっとすると同時に、昨日の綾音の言葉が過る。
『こんな色気も何もない男みたいなのが恋人なんて』
もしかして隼人さんが私を恋人役に選んだのは、白鳥さんの言うように色気がなく、私とだったら絶対に男女の関係にならないと考えたからだろうか。そう思ったらなぜか胸が痛んだ。
「どうした?」
黙ったままの私を隼人さんが見る。
「なんでもありません。隼人さんの言葉を聞いて安心しました。この契約で大丈夫です」
「では、名前を書いてくれるか?」
ペンを渡され、私は契約書に自分の名前を書き込んだ。ペンを置くと隼人さんが満足げに私の名前を見つめる。
「これで、瑞希は俺の恋人だ」
隼人さんの言葉に甘い響きを感じてドキリとする。
「契約恋人です! ちゃんと『契約』ってつけて下さい」
「わかっているよ。この三ヶ月、瑞希は俺の女だ。水沢に気をつけろよ」
水沢さんの名前が出て来たことに眉が上がる。
「水沢さんとは何でもないって言ってるじゃないですか」
「水沢は鋭いからな。俺との事が公になったから、きっと聞いてくる。絶対に秘密は守れよ」
水沢さんが私に興味を持つとは思えない。隼人さんは意外と心配症だと思いながら頷いた。
「大丈夫ですよ。秘密は守りますから」
「頼りにしているぞ。相棒」
そう言って隼人さんがまた私の頭を撫でて、微笑んだ。端正な顔が優しく微笑む所を見て、キュッと喉の奥が締め付けられた。
隼人さんの魅力に誘惑されそうになっている自分を必死に叱咤する。絶対に好きになっちゃダメ。これはただのお仕事なんだから。
「写真撮るぞ。瑞希こっち向け」
不意に隼人さんが私の隣にぴったりと身体を寄せ、スマホの画面をこちらに向ける。一瞬でゼロになった距離に心拍数が上がる。肩と肩が触れ合い、彼の体温が伝わってくる。近すぎる距離に心臓が爆発しそうになりながら、何とかお家デート用の笑顔を浮かべた。
私の頭から手を下ろすと、隼人さんが再び契約書を見た。
「あの、スキンシップの所でハッキリ書いて欲しいのですが」
「なんだ?」
「『絶対に一線は越えないこと』。いくら恋人役でもそこだけは譲れません」
精一杯の勇気を振り絞って口にすると、隼人さんは意表を突かれたように両目を見開き、それから低く笑った。
「安心しろ。瑞希を襲うほど俺は飢えていない」
隼人さんの言葉にほっとすると同時に、昨日の綾音の言葉が過る。
『こんな色気も何もない男みたいなのが恋人なんて』
もしかして隼人さんが私を恋人役に選んだのは、白鳥さんの言うように色気がなく、私とだったら絶対に男女の関係にならないと考えたからだろうか。そう思ったらなぜか胸が痛んだ。
「どうした?」
黙ったままの私を隼人さんが見る。
「なんでもありません。隼人さんの言葉を聞いて安心しました。この契約で大丈夫です」
「では、名前を書いてくれるか?」
ペンを渡され、私は契約書に自分の名前を書き込んだ。ペンを置くと隼人さんが満足げに私の名前を見つめる。
「これで、瑞希は俺の恋人だ」
隼人さんの言葉に甘い響きを感じてドキリとする。
「契約恋人です! ちゃんと『契約』ってつけて下さい」
「わかっているよ。この三ヶ月、瑞希は俺の女だ。水沢に気をつけろよ」
水沢さんの名前が出て来たことに眉が上がる。
「水沢さんとは何でもないって言ってるじゃないですか」
「水沢は鋭いからな。俺との事が公になったから、きっと聞いてくる。絶対に秘密は守れよ」
水沢さんが私に興味を持つとは思えない。隼人さんは意外と心配症だと思いながら頷いた。
「大丈夫ですよ。秘密は守りますから」
「頼りにしているぞ。相棒」
そう言って隼人さんがまた私の頭を撫でて、微笑んだ。端正な顔が優しく微笑む所を見て、キュッと喉の奥が締め付けられた。
隼人さんの魅力に誘惑されそうになっている自分を必死に叱咤する。絶対に好きになっちゃダメ。これはただのお仕事なんだから。
「写真撮るぞ。瑞希こっち向け」
不意に隼人さんが私の隣にぴったりと身体を寄せ、スマホの画面をこちらに向ける。一瞬でゼロになった距離に心拍数が上がる。肩と肩が触れ合い、彼の体温が伝わってくる。近すぎる距離に心臓が爆発しそうになりながら、何とかお家デート用の笑顔を浮かべた。