遅かれ、早かれ、恋になりまして。
17:31
”誰にでも、優しいわけじゃないよ”
待ちに待った華金!向かいに座る佳奈子と「かんぱーい!」とグラスを合わせる。
……といっても、まだお昼なのでグラスの中身はただの水だ。
今日は会社の近くに新しくオープンしたうどん屋さんに足を運んでみた。
木目調の落ち着いた店内に、出汁のいい香り。オープン前から私も佳奈子もずっと気になっていたお店で、佳奈子がわざわざ予約して勝ち取ってくれた席である。佳奈子は、こういう行動力が異常に早い。
お昼時の店内はすでにかなり賑わっていて、スーツ姿の会社員や女性グループでほとんど満席だった。
「ヤヨ、最近進捗どうなの?」
「ん?NEXERAの案件は、正式に進めることになったよ。月曜日から本格的に動き始める感じ」
そう答えながらメニューを閉じる。ようやくここまで来た、という安心感はあるのに、不思議と気持ちはまだ落ち着ききっていない。むしろ正式スタートが決まったことで、逆に緊張感が増している気さえする。
「え、すごっ。じゃあ結構デカい案件じゃん」
「まあね…。でもまだ始まったばっかりだから」
案件が正式に決まったことはもちろん嬉しい。
嬉しい、はずなのに――頭の中には別のことまで一緒に浮かんできてしまうから困る。
正式にプロジェクトが動くってことは、当然NEXERAとのやり取りも増えるわけで。つまり、有馬さんと会う機会も増える、ということで。
………いやいやいや、何を期待してるの、私。仕事だから。完全に仕事だから。
「それで?有馬さんとはどうなってるの?」
「へ?」
「私が聞きたいのは仕事の話じゃないのー!ヤヨの恋愛事情が聞きたいのよ!」
佳奈子は机に身を乗り出しながら、完全に目を輝かせている。
うわ、始まった。こういう時の佳奈子、本当に止まらない。