御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う

目的の答え合わせ

 静かに寝息を立てる小夜莉の顔を見ながら、雅人はやっと大きく息をつくと、ベッド脇に椅子を寄せドサッと腰かけた。
 あの後、雅人は意識を失った小夜莉を抱えて病院に駆け込んだ。小夜莉は極度の恐怖から一次的に血圧が低下していたようだが、特に心配はないとのことで、今は静かに眠っている。

 真夜中の病院の個室は驚くほど静かな時間が流れている。時折廊下を歩くナースの足音を聞きながら、さっきまでの騒動が嘘のように思えるほどだった。
 雅人は顔を上げると、静かに目を閉じる小夜莉を見つめる。その腕には点滴の針が刺さっており、ぼんやりとその管を見つめていた雅人は、小夜莉の左腕を見てはっと息を呑んだ。
 男に腕を掴まれた時、小夜莉は相当抵抗したのだろう。左腕にはくっきりと痣が残っていた。

「くっ」

 雅人は声を洩らずと、悔しさに震える拳を握りしめる。
 小夜莉をこんな目に合わせた犯人たちが許せなかった。でもそれ以上に、小夜莉を危険な目に合わせてしまった自分が、許せなくてたまらなかったのだ。

「もっと早く駆けつけていれば……」

 雅人は悔しそうに拳を震わせると、深く息を吐きながら目を閉じる。
< 104 / 135 >

この作品をシェア

pagetop