御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
 媚薬の瓶にGPSがつけられているとわかった時、同時にNKRと所長のつながりが明らかになった。その時点で小夜莉の身の危険を感じ、出勤させないことだってできたはずだ。でもこの二週間、相手になんの動きもないことから雅人はまだ大丈夫だろうと判断した。
 でも念のため小夜莉には、残業する日は必ず知らせて欲しいと伝えた。場合によっては司を向かわせるからと言ったのだ。

(でも小夜莉の性格を考えれば、遠慮して言わない可能性もあったはずなのに)

 雅人は目を開けると、寝息を立てる小夜莉の顔を覗き込む。

 なぜか今日一日、胸騒ぎがしていた雅人は、本社での打ち合わせを早めに切り上げてマンションに戻った。でもそこに小夜莉の姿はなかった。普段であればすでに帰ってきている時間だ。雅人はすぐに小夜莉のスマートフォンに電話を入れたが応答はない。司を呼び戻し研究所に駆けつけた雅人が目撃したのが、捕らわれた小夜莉の姿だったのだ。

 小夜莉が男たちに捕らえられている姿を目にしたとき、雅人は自分でも驚くほどに激高した。小夜莉に触れる汚らわしい手に、我を忘れるほどに逆上したのだ。

「小夜莉……」

 雅人は小さく口を開く。初めて出会ったあの日から、雅人の心は小夜莉に奪われたままだ。初めは名前もわからず、言葉すら交わせなかった。でも今、小夜莉は自分の妻としてここにいてくれる。

「もう二度と小夜莉に怖い思いはさせない。俺は一生をかけて君を守る」

 雅人はそう呟くと、重くなった瞼と共に自分も静かに目を閉じた。
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