御曹司社長は恋に臆病な契約妻を極上の愛で囲う
それぞれの感情
小夜莉は覗き込んでいた顕微鏡から目を離すと、ふうと小さく息をつく。
別世界のような結婚披露パーティーから二週間が過ぎていた。雅人とは相変わらず朝だけ顔を合わせる生活が続いている。そしてあの日以来、小夜莉の心臓は雅人の顔を見るたびに大きく鳴り響くようになっていた。そして雅人のことを考えるだけで、胸が苦しくてたまらないのだ。
(この気持ちって……)
そう考えて小夜莉は首を大きく振った。契約結婚の相手である自分が、この気持ちに名前をつけたらいけない。この気持ちを自覚してしまったら、その先には悲しい結末しかないことはわかりきっているのだ。
「神崎君」
すると突然研究室に所長の声が響く。小夜莉はビクッと顔を上げると所長のデスクの前に寄った。
「至急この検査データを分析しておいてくれ」
所長は神経質そうに、帽子を外して髪を撫でつけると、小夜莉に分厚い資料を渡す。
「わかりました」
小夜莉は小さく返事をすると資料を受け取った。さっと資料をめくり中身を確認していると目の前からじっとりとした視線を感じる。
ふと顔を上げると、普段は小夜莉の顔を一切見ない所長がこちらを見ているのに気がついた。
「し、失礼します」
小夜莉は頭を下げると自分のデスクに戻る。でもその後もしばらく所長の視線は続いた。
自分の一挙手一投足を所長が観察しているような気がして、小夜莉は居心地の悪さを感じながらデスクの椅子を引く。
別世界のような結婚披露パーティーから二週間が過ぎていた。雅人とは相変わらず朝だけ顔を合わせる生活が続いている。そしてあの日以来、小夜莉の心臓は雅人の顔を見るたびに大きく鳴り響くようになっていた。そして雅人のことを考えるだけで、胸が苦しくてたまらないのだ。
(この気持ちって……)
そう考えて小夜莉は首を大きく振った。契約結婚の相手である自分が、この気持ちに名前をつけたらいけない。この気持ちを自覚してしまったら、その先には悲しい結末しかないことはわかりきっているのだ。
「神崎君」
すると突然研究室に所長の声が響く。小夜莉はビクッと顔を上げると所長のデスクの前に寄った。
「至急この検査データを分析しておいてくれ」
所長は神経質そうに、帽子を外して髪を撫でつけると、小夜莉に分厚い資料を渡す。
「わかりました」
小夜莉は小さく返事をすると資料を受け取った。さっと資料をめくり中身を確認していると目の前からじっとりとした視線を感じる。
ふと顔を上げると、普段は小夜莉の顔を一切見ない所長がこちらを見ているのに気がついた。
「し、失礼します」
小夜莉は頭を下げると自分のデスクに戻る。でもその後もしばらく所長の視線は続いた。
自分の一挙手一投足を所長が観察しているような気がして、小夜莉は居心地の悪さを感じながらデスクの椅子を引く。