エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
2
父、倒れる
イギリス旅行から帰ってすぐ、千穂に具合はどうかとメッセージを送ってみたが、返信はなかった。春樹さんとのこともあるし心配だったけれど、今は千穂からの連絡を待つしかない。
ため息をついて通知のこないスマホを伏せてテーブルに置いた。
「どうしたの、姉ちゃん。旅行から帰ってきてから元気なくない?」
私の向かいの席で朝食を食べている最中の亮介が首を傾げる。
「ううん、なんでもない」
「なんでもないって風には見えないけど。もしかして旅行中になんかあったんじゃ」
「わ、私のことはいいから食べて! 今日、朝から友達と勉強会するんじゃないの?」
時計を見た亮介が「うわ、やべっ」と言って、慌ててご飯をかきこむ。
大学は夏休み中だが、医学部二年生の亮介は勉強に忙しい。九月からは解剖実習もあって忙しくなるから、今のうちに試験勉強をしておくらしい。「留年はぜったいできないから」というのが亮介の口癖だ。
亮介が通う大学は国立で学費は安いが、それでも家計に余裕があるわけじゃないから、亮介には医療法人が提供している奨学金制度を利用してもらっている。
卒業後にその医療法人が経営する病院で一定期間働けば、奨学金の返済が免除されるという制度だ。留年するとその間は奨学金が支給されないため、亮介の気持ちはありがたい。
もちろん仮に留年したとしても亮介の学費はちゃんと私とお父さんで払うつもりでいるけれど、そんな事態になったらまず亮介が退学してしまいそうだ。
大学進学の時も、私たちに負担をかけないよう高卒で働くと宣言した亮介を必死に説得した。
お母さんのように病気で亡くなる人をひとりでも多く助けたい。そんな素敵な夢をお金がないからというちんけな理由で諦めてほしくなかった。
ため息をついて通知のこないスマホを伏せてテーブルに置いた。
「どうしたの、姉ちゃん。旅行から帰ってきてから元気なくない?」
私の向かいの席で朝食を食べている最中の亮介が首を傾げる。
「ううん、なんでもない」
「なんでもないって風には見えないけど。もしかして旅行中になんかあったんじゃ」
「わ、私のことはいいから食べて! 今日、朝から友達と勉強会するんじゃないの?」
時計を見た亮介が「うわ、やべっ」と言って、慌ててご飯をかきこむ。
大学は夏休み中だが、医学部二年生の亮介は勉強に忙しい。九月からは解剖実習もあって忙しくなるから、今のうちに試験勉強をしておくらしい。「留年はぜったいできないから」というのが亮介の口癖だ。
亮介が通う大学は国立で学費は安いが、それでも家計に余裕があるわけじゃないから、亮介には医療法人が提供している奨学金制度を利用してもらっている。
卒業後にその医療法人が経営する病院で一定期間働けば、奨学金の返済が免除されるという制度だ。留年するとその間は奨学金が支給されないため、亮介の気持ちはありがたい。
もちろん仮に留年したとしても亮介の学費はちゃんと私とお父さんで払うつもりでいるけれど、そんな事態になったらまず亮介が退学してしまいそうだ。
大学進学の時も、私たちに負担をかけないよう高卒で働くと宣言した亮介を必死に説得した。
お母さんのように病気で亡くなる人をひとりでも多く助けたい。そんな素敵な夢をお金がないからというちんけな理由で諦めてほしくなかった。