エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
「お父さんも今日は仕事だよね? 日勤だっけ?」
亮介の隣に座るお父さんに目を向けると、箸が全く進んでいなかった。納豆のパックすら開けていない。
「大丈夫、お父さん? 食欲ない?」
「ああ、ごめん。食べるよ」
でもひと口食べた途端せき込んで、しまいには吐いてしまった。
こんなことは初めてで、慌てた私はすぐにお父さんを病院へ連れて行った。亮介も勉強会を断ってついてきてくれた。
聞けば、ここ一ヶ月ほど食事が喉を通らないことが増えていたらしい。私の前ではそんな素振りを見せていなかったから、わからなかった。
「どうして早く言ってくれなかったの?」
「だって、言ったら仁奈と亮介に心配かけるだろう」
当たり前だ。家族なんだから。でもシュンと肩を落とすお父さんを見ていると、これ以上なにも言えなかった。
かかりつけの先生からは胃炎だろうと診断を受けたが、念のため詳しい検査も受けた方がいいと勧められ、後日総合病院でひととおり検査をしてもらった。
検査から一週間後。亮介と一緒に結果を聞きに行くと、医師から深刻な顔で告げられた。
「胃がんです」
頭が真っ白になった。
ついこの間までは普通に元気だったのに、がん? この人、何を言っているんだろうと失礼ながら思う。それくらい私にとって現実味のない話だった。
「どれくらい進行してますか? 根治手術はできる段階ですか?」
呆然とする私に代わって、亮介が食い気味に尋ねる。医学部生だからか、状況の飲み込みが早い。
「今の段階では手術で取り切れると考えています」
「それって、手術をすれば治るってことですか?」
光明が見えて、私も思わず口を挟んだ。医師は変わらず深刻な顔をしながら頷いた。
「もちろん手術をして、がんの範囲が思ったより大きいことが確認できたり、他の部位にも転移していると根治は難しいですが……今の段階では、手術ができれば根治の可能性は高いと考えられます」
かなり慎重な物言いではあるけれど、ひとまず治る可能性があるとわかってホッとした。
亮介の隣に座るお父さんに目を向けると、箸が全く進んでいなかった。納豆のパックすら開けていない。
「大丈夫、お父さん? 食欲ない?」
「ああ、ごめん。食べるよ」
でもひと口食べた途端せき込んで、しまいには吐いてしまった。
こんなことは初めてで、慌てた私はすぐにお父さんを病院へ連れて行った。亮介も勉強会を断ってついてきてくれた。
聞けば、ここ一ヶ月ほど食事が喉を通らないことが増えていたらしい。私の前ではそんな素振りを見せていなかったから、わからなかった。
「どうして早く言ってくれなかったの?」
「だって、言ったら仁奈と亮介に心配かけるだろう」
当たり前だ。家族なんだから。でもシュンと肩を落とすお父さんを見ていると、これ以上なにも言えなかった。
かかりつけの先生からは胃炎だろうと診断を受けたが、念のため詳しい検査も受けた方がいいと勧められ、後日総合病院でひととおり検査をしてもらった。
検査から一週間後。亮介と一緒に結果を聞きに行くと、医師から深刻な顔で告げられた。
「胃がんです」
頭が真っ白になった。
ついこの間までは普通に元気だったのに、がん? この人、何を言っているんだろうと失礼ながら思う。それくらい私にとって現実味のない話だった。
「どれくらい進行してますか? 根治手術はできる段階ですか?」
呆然とする私に代わって、亮介が食い気味に尋ねる。医学部生だからか、状況の飲み込みが早い。
「今の段階では手術で取り切れると考えています」
「それって、手術をすれば治るってことですか?」
光明が見えて、私も思わず口を挟んだ。医師は変わらず深刻な顔をしながら頷いた。
「もちろん手術をして、がんの範囲が思ったより大きいことが確認できたり、他の部位にも転移していると根治は難しいですが……今の段階では、手術ができれば根治の可能性は高いと考えられます」
かなり慎重な物言いではあるけれど、ひとまず治る可能性があるとわかってホッとした。