エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
3
完璧なる偽装結婚
偽装結婚を決めてからの黒崎さんの行動は早かった。
私と亮介の予定を聞き出すと、すぐに日程を調整して顔合わせを行った。
今まで恋人の気配もなかった私がいきなり結婚するというから、亮介は終始訝しげな顔をしていて、「姉ちゃん、騙されてるんじゃないの?」とちょっと鋭いことを耳打ちしてきた。
騙されているというより、私が亮介を騙しているのだけど。私は曖昧に笑うしかなかった。
黒崎さん側の家族への挨拶はいらないと言われた。ご両親に挨拶をした方が説得力が増すと思うけれど、黒崎さんがそう言うなら私は従うだけだ。
結婚するのに(偽装だけれど)実家で暮らしているんじゃ説得力がないと言われ、私は黒崎さんのマンションへ引っ越すことになった。
病気のお父さんを残して引っ越すのは心配だったけれど、そのお父さんからも「滉太郎くんと一緒に住まなくていいのかい?」と勧められたから、選択肢はなかった。
なるべく早い方が周囲に説明しやすいと言われて、一週間で準備をした。元々荷物は少ない方で引っ越しの荷物はスーツケースひとつで済んだけれど、怒涛の展開に息切れ状態だ。
ヘトヘトになりながら、引っ越し先へ向かう。黒崎さんの家は霞ヶ関から近いタワーマンションの一室だった。
「す、すご……」
何十階建てなんだろう。
見上げていると首が痛くなるほど高いマンションに圧倒されていると、「仁奈」と呼ばれた。マスクをつけた黒崎さんがすぐそばに立っていた。
「移動お疲れ様。じゃあ行こうか」
私の手からスーツケースを取ると、黒崎さんは歩き出した。
「荷物はこれだけか? 随分少ないんだな」
私と亮介の予定を聞き出すと、すぐに日程を調整して顔合わせを行った。
今まで恋人の気配もなかった私がいきなり結婚するというから、亮介は終始訝しげな顔をしていて、「姉ちゃん、騙されてるんじゃないの?」とちょっと鋭いことを耳打ちしてきた。
騙されているというより、私が亮介を騙しているのだけど。私は曖昧に笑うしかなかった。
黒崎さん側の家族への挨拶はいらないと言われた。ご両親に挨拶をした方が説得力が増すと思うけれど、黒崎さんがそう言うなら私は従うだけだ。
結婚するのに(偽装だけれど)実家で暮らしているんじゃ説得力がないと言われ、私は黒崎さんのマンションへ引っ越すことになった。
病気のお父さんを残して引っ越すのは心配だったけれど、そのお父さんからも「滉太郎くんと一緒に住まなくていいのかい?」と勧められたから、選択肢はなかった。
なるべく早い方が周囲に説明しやすいと言われて、一週間で準備をした。元々荷物は少ない方で引っ越しの荷物はスーツケースひとつで済んだけれど、怒涛の展開に息切れ状態だ。
ヘトヘトになりながら、引っ越し先へ向かう。黒崎さんの家は霞ヶ関から近いタワーマンションの一室だった。
「す、すご……」
何十階建てなんだろう。
見上げていると首が痛くなるほど高いマンションに圧倒されていると、「仁奈」と呼ばれた。マスクをつけた黒崎さんがすぐそばに立っていた。
「移動お疲れ様。じゃあ行こうか」
私の手からスーツケースを取ると、黒崎さんは歩き出した。
「荷物はこれだけか? 随分少ないんだな」