政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
二 偽りの蜜月
バレンタインから一週間が過ぎた頃。
慧が久しぶりに家で夕食を摂ることになった。今朝、彼から『今日は早く帰れそうなんだ』と言われ、すかさず一緒に食べることを提案したのだ。
そのときの慧は、どこか嬉しそうだったように思う。もっとも、すみれの勘違いだろうけれど……。
そういうわけで、今夜はいつになく気合いが入っていた。ずっとひとりで味気のない食事をしていたが、彼と食べられるのだから。
今夜のメニューは、銀タラの西京焼きをメインにする。思い切ってリクエストを訊いたら、『焼き魚がいい』と言われたからだ。
副菜は任されたため、朝から必死に考えて……。ほうれん草のおひたし、きのこの卵あんかけ、ささみときゅうりの梅和え、茶碗蒸し、蛤のお吸い物に決めた。
西京焼きには、はじかみも添える。白米は土鍋で炊いた。
そこへ慧が帰ってくる。彼は「ただいま」と言ってダイニングテーブルを見るなり、目を小さく見開いた。
「おかえりなさい」
「こんなに作ってくれたのか……。大変だっただろ」
「いいえ、ちっとも。食べてくれる人がいると思うと作り甲斐がありますから」
さすがに『慧さんが食べてくれるから』とは言えなかった。自分の気持ちがバレてしまいそうで、少しだけ怖かったのだ。
「そうか。ありがとう」
優しい言葉に、鼓動が跳ねる。心なしか、彼の表情も穏やかに見えてどぎまぎした。
すみれは、我ながら単純だな……と思いつつ、必死に平静を装う。
慧が久しぶりに家で夕食を摂ることになった。今朝、彼から『今日は早く帰れそうなんだ』と言われ、すかさず一緒に食べることを提案したのだ。
そのときの慧は、どこか嬉しそうだったように思う。もっとも、すみれの勘違いだろうけれど……。
そういうわけで、今夜はいつになく気合いが入っていた。ずっとひとりで味気のない食事をしていたが、彼と食べられるのだから。
今夜のメニューは、銀タラの西京焼きをメインにする。思い切ってリクエストを訊いたら、『焼き魚がいい』と言われたからだ。
副菜は任されたため、朝から必死に考えて……。ほうれん草のおひたし、きのこの卵あんかけ、ささみときゅうりの梅和え、茶碗蒸し、蛤のお吸い物に決めた。
西京焼きには、はじかみも添える。白米は土鍋で炊いた。
そこへ慧が帰ってくる。彼は「ただいま」と言ってダイニングテーブルを見るなり、目を小さく見開いた。
「おかえりなさい」
「こんなに作ってくれたのか……。大変だっただろ」
「いいえ、ちっとも。食べてくれる人がいると思うと作り甲斐がありますから」
さすがに『慧さんが食べてくれるから』とは言えなかった。自分の気持ちがバレてしまいそうで、少しだけ怖かったのだ。
「そうか。ありがとう」
優しい言葉に、鼓動が跳ねる。心なしか、彼の表情も穏やかに見えてどぎまぎした。
すみれは、我ながら単純だな……と思いつつ、必死に平静を装う。