政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
三 婚約者候補
目まぐるしく時は流れ、慧と東屋で過ごした日から二年以上が経った。
今年一月に二十二歳になったすみれは、春に大学を卒業したばかり。六条商事に就職し、コネ入社ではあるが社会人一年目の日々を過ごしていた。
とはいっても、社会人らしい毎日を送っているのかは微妙なところだ。
すでに六月上旬だというのに、親しい同僚も同期もいない。昼休憩は手作りのお弁当を食べたあと、ひとりで過ごしている。
五月下旬までは、近くの公園のベンチを利用していた。しかし、初夏の今は外で過ごすのはつらく、社内の人目の少ない場所で時間を潰すことが多い。
同期はグループができていて、飲み会なども開いているようだ。
最初のうちは、すみれも自らみんなの輪の中に入ろうと努力した。
「六条さんって社長の娘なんでしょ?」
「えー、そうなんだ。じゃあ、飲み会とかは誘わないでおこうよ。愚痴とか社長に言いつけられたら困るじゃん」
「確かに……。っていうか、社長の娘の前だと本音も言えないよね」
「まあ、とりあえず当たり障りなく付き合うしかなくない? 連絡先とか訊かれたら嫌だなぁ。面倒だし」
ところが、数名の同期の会話を偶然聞き、早々に諦めた。
自分がいるだけで迷惑になる、と言われているようなもの。そこに勇気を出して入っていけるほど、すみれは図太くなれなかった。
今年一月に二十二歳になったすみれは、春に大学を卒業したばかり。六条商事に就職し、コネ入社ではあるが社会人一年目の日々を過ごしていた。
とはいっても、社会人らしい毎日を送っているのかは微妙なところだ。
すでに六月上旬だというのに、親しい同僚も同期もいない。昼休憩は手作りのお弁当を食べたあと、ひとりで過ごしている。
五月下旬までは、近くの公園のベンチを利用していた。しかし、初夏の今は外で過ごすのはつらく、社内の人目の少ない場所で時間を潰すことが多い。
同期はグループができていて、飲み会なども開いているようだ。
最初のうちは、すみれも自らみんなの輪の中に入ろうと努力した。
「六条さんって社長の娘なんでしょ?」
「えー、そうなんだ。じゃあ、飲み会とかは誘わないでおこうよ。愚痴とか社長に言いつけられたら困るじゃん」
「確かに……。っていうか、社長の娘の前だと本音も言えないよね」
「まあ、とりあえず当たり障りなく付き合うしかなくない? 連絡先とか訊かれたら嫌だなぁ。面倒だし」
ところが、数名の同期の会話を偶然聞き、早々に諦めた。
自分がいるだけで迷惑になる、と言われているようなもの。そこに勇気を出して入っていけるほど、すみれは図太くなれなかった。