政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
「あのね、すみれ」


思い詰めていくすみれの耳に、美弥の落ち着いた声が届く。


「すみれは真面目だし、家のために生きる覚悟があるのもわかってる。でも、人を好きになるって悪いことじゃないよ? 今は独身だし、別にいけないことしてるわけじゃないんだし、相手を想うだけならすみれの自由でしょ」


彼女の優しい言葉と穏やかな眼差しが、すみれの心を包み込んでいく。


「応援する! なんて無責任なことは言えない。でも、すみれの気持ちはすみれだけのものだよ。おじさんにだって消す権利はない」


美弥の言葉に、ハッとさせられる。


すみれは、最初から絶望感を抱いていた。どうすることもできない相手に恋をしてしまった自分を、呪いそうになっていたほどに……。
けれど、彼女がすみれの感情を肯定してくれたことで、少しだけ救われた気がした。


「私はすみれの味方だから、そんな風に思い詰めなくていい」


美弥は、すみれの立場をよくわかっている。


すみれ自身が、六条のために生きるつもりであることも。そのせいで、結婚という未来に自由がないことも……。
その上で、寄り添ってくれているのだ。


「うん……。ありがとう、美弥」
「ううん。解決はしてあげられないけど、話ならいつでも聞くからね」


彼女の思いやりが、すみれの心を優しく包み込んでいく。
この恋に未来はなくても、今だけは想うことを許された気がした。

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