政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
(業務も振りにくいだろうし、申し訳ないな……)
仕事を終えて帰宅したすみれは、よくそんな風に思う。
昼間のことを思い返すと、いつだって必要以上に気を使っている周囲の表情が甦ってくるからだ。
上司、同僚、教育係の先輩……。みんな、すみれをどのように扱えばいいのか思案しているのだろう。
すみれは、『なんでもやります』や『教えてください』と伝えているけれど……。あまり効果は感じない。
せめて、仕事は積極的にこなしたい。そう思って自分なりに声をかけているのに、同期に比べると与えられる業務がとても少ないのだ。
かといって、自分から率先して業務をこなせるほどの力もない。誰の役にも立てないすみれだけが、周囲から取り残されているようだった。
今のすみれにとっての安息の地は、一人暮らしの1LDKの自宅だけ。
結婚までは、きっと残り数年。その間だけでも父から離れたくて、実家を出たいと申し出た。
父は渋い顔をしたが、母の口添えで一人暮らしが許されたのだ。
実家では息が詰まり、会社では居場所がない。そんな中、この家だけが自分の居場所だと感じられた。
ここでは、無理に笑わなくてもいい。平気なふりをしたり、なにも気づいていない素振りをしたり、必死に声をかけたりしなくてもいい。
ただ、自由に息ができる。たったそれだけのことが、すみれには必要だったのだ。
仕事を終えて帰宅したすみれは、よくそんな風に思う。
昼間のことを思い返すと、いつだって必要以上に気を使っている周囲の表情が甦ってくるからだ。
上司、同僚、教育係の先輩……。みんな、すみれをどのように扱えばいいのか思案しているのだろう。
すみれは、『なんでもやります』や『教えてください』と伝えているけれど……。あまり効果は感じない。
せめて、仕事は積極的にこなしたい。そう思って自分なりに声をかけているのに、同期に比べると与えられる業務がとても少ないのだ。
かといって、自分から率先して業務をこなせるほどの力もない。誰の役にも立てないすみれだけが、周囲から取り残されているようだった。
今のすみれにとっての安息の地は、一人暮らしの1LDKの自宅だけ。
結婚までは、きっと残り数年。その間だけでも父から離れたくて、実家を出たいと申し出た。
父は渋い顔をしたが、母の口添えで一人暮らしが許されたのだ。
実家では息が詰まり、会社では居場所がない。そんな中、この家だけが自分の居場所だと感じられた。
ここでは、無理に笑わなくてもいい。平気なふりをしたり、なにも気づいていない素振りをしたり、必死に声をかけたりしなくてもいい。
ただ、自由に息ができる。たったそれだけのことが、すみれには必要だったのだ。