政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
二章 行き場のない恋心

一 どんでん返しのバースデー

正月ムードもすっかり過ぎ去った、一月中旬。
すみれは金曜日の街を足早に通り抜けて帰宅し、簡単に夕食を済ませることにした。


メニューは、タコライス。ひき肉は味付けして冷凍してあるため、それをレンジで温め、野菜を切っていくだけだ。白米は、朝食とお弁当用に炊いた残りがある。


白いプレートに盛った白米に、レタスとひき肉を載せる。ミニトマトとアボカドも適当に盛りつけ、最後にチーズをかけた。


テーブルに着き、「いただきます」と言いながら両手を合わせる。スプーンでタコライスを掬って口に運ぶと、スパイスとひき肉の旨みが口腔に広がっていった。


(本当はスープも欲しかったけど、ひとりだと手抜きになっちゃうなぁ……)


慧の分も作るのなら、スープやサラダなんかも用意しただろう。しかし、自分ひとり分となると、どうにも面倒くさいと思ってしまう。


自分のために料理をするのは、少しばかり億劫なのだ。料理は好きだが、これは一人暮らしのときもそうだった。


だから、たまに美弥が遊びに来てくれると、張り切ってもてなしたものだ。ふと、そんな日が懐かしくなる。


結婚が決まってからは、彼女と会える日が減っていった。
婚約披露パーティーの前から結婚するまで、とにかく忙しかった。


ドレスの採寸や、デザインの相談。小物に至るまでほとんどがオーダーメイドだったため、決めることは山積みだった。


招待客の選定や席決めも、御門家と相談しながら進めなくてはいけない。ほとんどが会社関係の招待客とあって、慧の意見や判断が必須だ。


すみれがひとりで決められないことばかり。しかも、婚約披露パーティーや結婚式の前は彼から急に呼び出されることもあった。


そんな中では、思うようにプライベートの予定が立てられるはずがない。美弥との月に二回ほどの女子会も必然的に減り、昨年はあまり会えなかったのだ。

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