政略結婚ですが、クールな旦那様の溺愛が始まりました
(近いうちに美弥を誘ってみようかな。前みたいに家に来てもらって、久しぶりにのんびり過ごすのもいいかも。結婚式に来てくれたお礼も改めて言いたいし……)


そこまで考えたところで、家に友人を入れてもいいのか……という疑問が芽生えた。


両家の両親は、一度だけ来ている。結婚式から一週間ほど経った日、慧の提案で両親たちを招待したのだ。


といっても、家に滞在していたのは午後の一時間ほどだけ。特に父親たちは多忙なため、予定が合っただけでも御の字だっただろう。


すみれは、一時間だけでよかったのだろうか……と気になった。その反面、密かにホッとしたし、正直ありがたくもあった。
なぜなら、彼との結婚生活が円満でないと悟られる不安があったから。


両家が望んでいるのは、きっとできるだけ早く子どもを作ること。けれど、身体の関係がないのだから、叶うはずがない。
それがバレるのではないか……と思い、少しだけ怖かった。


結局、両親たちはずっと和やかな雰囲気で、特になにも言われなかったのだけれど。


(今度、慧さんに美弥を招いてもいいか訊いてみようかな)


ぼんやりとそんなことを考えている間に、プレートは空になっていた。


「ごちそうさまでした」


両手を合わせ、小さく呟く。さきほどと同じように、静かな部屋にすみれの声が寂しげに落ちていった。


手早く片付け、着替えを持ってバスルームに向かう。
結婚して知ったことだが、慧は基本的に湯船に浸からないようだ。バスルームよりもシャワールームを使う方が多い。


多忙だから、あまり時間を割きたくないのかもしれない。身体にはよくないだろうが、かと言ってすみれが口を出すのも憚られた。


バスルームからリビングに戻ると、彼はまだ帰ってきていなかった。

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