敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
第七章 絶対に離さない ~side碧人~
「陽咲、具合はどう? まだ気分が悪いんじゃないか?」

 レセプションパーティーから一夜が明けた翌日。
 部屋で休む陽咲の表情は、相変わらず冴えないままだった。いつもの明るさも覇気もない。

「大丈夫です。心配しないでください」

 そう言って無理に笑おうとする陽咲の横顔を見つめながら、俺は後悔の念にさいなまれていた。
 彼女が慣れていないとわかりながら、パーティーに連れ出したのだ。陽咲はなにも言わないけれど、かなり精神的な負担になったのだろう。無理をさせてしまった。
 俺が自分の都合で巻き込んだくせに、彼女の心身を十分に気遣えていなかった。申し訳ない気持ちが湧くのと同時に、自分自身に腹が立つ。

「本当に大丈夫か?」
「はい」

 だけど、ただ具合が悪いだけでなく、なんとなく違和感も覚えていた。
 目の前にいる陽咲は、心のシャッターを完全に下ろして俺を遠ざけようとしているみたいに見える。
 言葉遣いこそいつもどおりだが、その瞳はどことなく光を失っていて、俺を映してはくれない。

(……絶対におかしい。パーティーでなにかあったんだろう)

 昨夜、俺が少し目を離したあいだに、彼女の心をこれほどまでに凍りつかせるなにかが起きたのではないか。
 それは憶測の域を超えないけれど、おそらくその勘はあたっていると思う。

「コーヒーを淹れてきます。それと、朝食の準備をしなくちゃ」
「俺も手伝う」

 陽咲が俺を見てくれないことが、こんなにもつらいとは思わなかった。
 どうしたらこちらを向いてくれるのか、笑顔を取り戻せるのか、そればかり考えてしまう。
 彼女のよそよそしさが気になりつつも、出勤する時間が迫り、俺は会社へ向かった。
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