敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
第三章 偽りの夫婦
 京極さんと話し終えたあと、成美の家に戻って荷物をまとめた。
 彼女は出かけていて留守だった。そのため、とりあえず【お世話になりました。自宅に帰るね。ありがとう】と短いメッセージを送ってから家を出た。

 さすがに結婚の話は書けなかった。どういういきさつでそうなったのか、メッセージでは説明しにくいし、大丈夫なのかと心配されると思ったから。
 成美には落ち着いてから報告するつもりでいる。

 もう日が暮れようとしていたが、いったん自宅に戻った私はスーツケースを引っ張り出して荷物を詰め込み、住所を聞いていた京極さんのマンションを訪れた。

「え……ここ?」

 スマホに映し出された地図と、目の前にそびえ立つタワーマンションを交互に見て何度も確認したけれど、どうやら間違いないらしい。
 だけど、オートロックの機械で部屋番号を入力して呼び出しボタンを押すのをためらってしまい、私は京極さんに電話をかけた。

「もしもし……今、マンションの下まで着いたかな……と思うんですけど」
『わかった。すぐ行く』

 数分後、彼がエントランスまで迎えにきてくれて、本当にこんなにすごいところに住んでいたのだとあらためて思い知らされた。

「エレベーター、こっちなんだ」

 私から彼の手へ、さりげなくスーツケースが移動する。
 そして彼は、一般的に使われているエレベーターではなく、その前を通り過ぎて奥へと進んでいった。

「こっちのほうが早いから」
「……そうなんですね」
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