敏腕CEOと契約結婚したら、攻略不能なほど溺愛されています
 覚悟なんて決まっていない。それでも今はこの道しかないのだろうと考え、私はゆっくりと口を開いた。

「……わかりました。京極さんを信じます」

 彼はわずかに驚いた顔をして、そのあと穏やかに微笑んだ。

「ありがとう。じゃあ、よろしく」
「よろしくお願いします」

 引き返せない一歩を踏み出してしまったのだと、遅れて実感が湧いてくる。
 不安は消えない。それでも、今は彼が差し伸べてくれた手を掴むしかない。私はドキドキする胸を押さえながら静かに頭を下げた。

「それと、うちに住めばいいよ。不審な男たちがうろうろしてるなら、君の身が危ない」
「……いいんですか?」
「もちろん。すぐにおいで」
「ありがとうございます。怖くても、自分の家に帰るしかないかなって思っていたんです」

 いくら成美と仲がいいとはいえ、ずっと彼女の家に居候し続けるのは迷惑がかかる。数日が限界だ。
 だけど、借金の取り立てにおびえて暮らすなんて嫌だなと、気が滅入っていたところだった。
 だから京極さんの家に避難させてもらえるならありがたいと思ったのだけれど……。ただの同居人ではなく〝夫婦〟として一緒に住むのだ。私はとんでもなく大胆なことを口にしたのかもしれない。

「お父さんが逃げ続けるなら、代わりに君が嫌がらせを受ける可能性もあるだろう?」
「ですよね」
「君のことは、俺が守るから」

 力強い瞳に射貫かれる。彼が味方でいてくれるのは、とても心強かった。
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