終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない

第27話 それぞれの好き

まだチェックイン前ということもあって、ロビーラウンジも比較的空いている。
「暑いから中で話しましょう」と誘われ、イスに座っている。

(……どうしよう、話ってなに?)

内心では緊張と動揺が激しいものの、注文したアイスミルクティーを飲む。  

「藤原さんはミルクティーがお好きなんですね」
「えぇ……」
「あの日、綾人さんから、あなたと打ち合わせ中かと連絡がありました」

思い出した。
あたしが黙って自分の家に帰った日だ。

「メッセージが既読にならないとか、ミルクティーを淹れたのにと、心配されてましたよ」
「すみませんでした……。もう大丈夫です」 
「そうですか」

九条さんが優雅にコーヒーカップを持ち、一口すする。
カチャと机に触れた音が、やけに響いた。

「で、あなたの問題は解決しましたか」

何を問われているのか。
分からないほど、バカじゃない。
 
——上辺だけの言葉じゃ意味がない
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