終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
第4話 ドレスはブルームーンで
「起きろ、志穂。出かけるぞ」
カーテンの隙間から差し込む光と、アラームにしては耳馴染みの良い音。
ゆっくり瞼とともに意識が浮上して、最初に目に入ったのは——見慣れない天井だった。
「……っ、んー……」
音のするほうへ手探りしていると、掴まれた感触。
視線を向けると、綾人がこちらを見ている。
その瞬間、昨夜の記憶が鮮やかに蘇る。
(そうだ!あたし綾人の家に泊まったんだった……)
「ほら、ぼーっとすんな」
掴んだまま綾人が、軽く額を小突いた。
見ると彼はもう寝間着姿ではなかった。
「……なに、朝から」
「婚約者の準備」
あまりにも当然みたいに言われて、言葉が詰まる。
「今日からだろ。外でもちゃんと“それ”でいくから」
“それ”——って。
「ちょっと待って、準備ってなによ」
「待たねぇよ」
間髪入れずに返されて、ぐうの音も出ない。
確かに、もう婚約者扱いとか話してたけど。
(あくまで、フリだよね……?)
綾人は見透かしたみたいに、笑って言う。
「紹介まで時間ねぇんだ。形だけでも整えとく」
そう言って、クローゼットから取り出されたのは、見覚えのないワンピース。
タグもついたままのそれを、無造作にあたしに押し付けてくる。
「着替え」
「……だから、なんで用意できるのよ」
「婚約者だからな」
カーテンの隙間から差し込む光と、アラームにしては耳馴染みの良い音。
ゆっくり瞼とともに意識が浮上して、最初に目に入ったのは——見慣れない天井だった。
「……っ、んー……」
音のするほうへ手探りしていると、掴まれた感触。
視線を向けると、綾人がこちらを見ている。
その瞬間、昨夜の記憶が鮮やかに蘇る。
(そうだ!あたし綾人の家に泊まったんだった……)
「ほら、ぼーっとすんな」
掴んだまま綾人が、軽く額を小突いた。
見ると彼はもう寝間着姿ではなかった。
「……なに、朝から」
「婚約者の準備」
あまりにも当然みたいに言われて、言葉が詰まる。
「今日からだろ。外でもちゃんと“それ”でいくから」
“それ”——って。
「ちょっと待って、準備ってなによ」
「待たねぇよ」
間髪入れずに返されて、ぐうの音も出ない。
確かに、もう婚約者扱いとか話してたけど。
(あくまで、フリだよね……?)
綾人は見透かしたみたいに、笑って言う。
「紹介まで時間ねぇんだ。形だけでも整えとく」
そう言って、クローゼットから取り出されたのは、見覚えのないワンピース。
タグもついたままのそれを、無造作にあたしに押し付けてくる。
「着替え」
「……だから、なんで用意できるのよ」
「婚約者だからな」