終電を逃した夜、鑑賞用の王子様は婚約者にした私を離さない
第13話 彼女には敵わない
出張から戻って一週間。
結局、出張当日の朝以降、一度も綾人の顔を見ていなかった。
ワタセホテルの新規事業立ち上げが本格化したらしく、綾人はホテルと会社を行き来する日々。
「今日も泊まり」とか「明日も遅くなる」とか。
届くのは、それだけ。
(花火大会の埋め合わせのことも、 浴衣のことも……なにも言わない)
(婚約者のフリなのに、本物みたいに寂しいなんて反則だ)
後輩の声に意識が引き戻された。
「藤原さん、外線二番にC社からお電話です」
取り次いだ電話は、案件キャンセルの連絡だった。
先日のインテックス大阪で営業したときは、好感触だっただけに、気が沈む。
「先輩、残念でしたね……」
「こういうこともあるよ。でも縁が繋がる日が来るかもだしアプローチは続けよう」
「わかりました……」
「ほら、切り替えていこっ?まだ返答をもらってない会社もあるから」
後輩への言葉は、まるで自分に言い聞かせているのと同じ。
実は、今朝も別の会社からメールでも、同様の連絡が届いた。
こういったことは、営業ではよくあること。
(なんでだろ)
(九条さんなら……取れてたのかな)
結局、出張当日の朝以降、一度も綾人の顔を見ていなかった。
ワタセホテルの新規事業立ち上げが本格化したらしく、綾人はホテルと会社を行き来する日々。
「今日も泊まり」とか「明日も遅くなる」とか。
届くのは、それだけ。
(花火大会の埋め合わせのことも、 浴衣のことも……なにも言わない)
(婚約者のフリなのに、本物みたいに寂しいなんて反則だ)
後輩の声に意識が引き戻された。
「藤原さん、外線二番にC社からお電話です」
取り次いだ電話は、案件キャンセルの連絡だった。
先日のインテックス大阪で営業したときは、好感触だっただけに、気が沈む。
「先輩、残念でしたね……」
「こういうこともあるよ。でも縁が繋がる日が来るかもだしアプローチは続けよう」
「わかりました……」
「ほら、切り替えていこっ?まだ返答をもらってない会社もあるから」
後輩への言葉は、まるで自分に言い聞かせているのと同じ。
実は、今朝も別の会社からメールでも、同様の連絡が届いた。
こういったことは、営業ではよくあること。
(なんでだろ)
(九条さんなら……取れてたのかな)